現代の食品業界では、「食品ロス削減」が大きなテーマになっています。食品ロスは企業にとって直接的な損失となるだけでなく、環境負荷、エネルギーの無駄、生産者への負担など、社会全体にも影響を及ぼします。その中で、最も効果的な対策のひとつが 冷凍冷蔵設備における温度管理の最適化 です。
実際、食品ロスの多くは「温度異常」「設備劣化」「管理ミス」など、日常の運用で防げる原因に起因しています。本記事では、食品ロス削減を実現するための 正しい温度管理方法 と 設備選びのポイント を、解説いたします。
食品ロスの多くは“温度管理ミス”から発生する
食品の劣化は、温度の変化に非常に敏感です。たとえば、冷蔵庫内がわずか数度上昇するだけで細菌の繁殖が進み、鮮度低下や廃棄の原因になります。
● 温度変化が引き起こす問題
細菌の増殖：特に10℃を超えると増殖が急加速
鮮度低下：肉や魚は温度変化によりドリップが発生
商品の品質不均一化：陳列棚や冷蔵庫内の“温度ムラ”による劣化
冷凍焼け・霜付き：凍結環境の不安定さによる品質低下
こうした要因はすべて食品ロスに直結します。だからこそ、冷凍冷蔵設備の性能と管理体制が重要なのです。
正しい温度管理の基本とは？
日常の業務の中で実践しやすい温度管理方法をご紹介します。
● (1) 温度チェックは「朝・昼・夕」の3回が理想
手動チェックでも良いですが、できれば自動記録できるシステムを導入するとミスを防げます。
● (2) 温度記録は“データ化”して傾向を把握
温度が不安定な時間帯の把握
故障の予兆の早期検出
入荷・出荷時の温度変化管理
紙ではなくデジタル化すると、管理効率が大幅に向上します。
● (3) 冷気の流れを妨げない収納方法
棚の隙間が詰まり過ぎていると、冷気が循環せず温度ムラの原因になります。商品を詰め込みすぎないことは、食品ロス削減に直結します。
● (4) 扉の開閉回数を減らす運用ルール
特に飲食店や食品加工の現場では、開け閉めの頻度が多く温度変化が起こりやすいもの。
取り出す順番を決める、必要量をまとめて取り出すなど、細かなルール作りが効果的です。
食品ロスを防ぐ設備選びのポイント
● (1) 庫内温度の“安定性”をチェックする
冷凍冷蔵設備の性能を判断するうえで最も重要なのが「温度の安定性」です。
安定性が高い設備の特徴は
・庫内の温度ムラが少ない
・外気温の変化に強い
・扉の開閉後、設定温度に戻るまでが早い
こうした性能が高い設備は、食品ロス削減に非常に有効です。
● (2) インバータ制御の有無
近年の冷凍機ではインバータ制御の搭載が一般的で、
・温度の微調整
・運転の省エネ化
・部品負担の軽減
といったメリットがあります。特に食品を扱う業界では導入効果が大きい機能です。
● (3) 省エネ性能はランニングコストとロス削減の両方に貢献
省エネタイプの設備を導入すると、
・電気料金の削減
・庫内温度の安定による品質維持
・故障リスクの低減
という複数の効果が得られます。結果として食品ロス削減にも繋がります。
● (4) 遠隔監視システムの活用が“ロスをゼロに近づける”
近年は、温度異常が発生するとスマホに通知される IoT温度監視システム が普及しています。
・夜間や休日の温度異常に即対応
・記録の自動保存
・故障兆候の早期把握
これにより「気づいたら食品が劣化していた」という状況を防げます。
定期メンテナンスが食品ロス削減のカギ
設備は使い続けるほど性能が低下し、温度の安定性も失われていきます。そのため、年数が経つほど 定期メンテナンスの重要性 が増します。
● 定期メンテナンスで防げること
・ガス漏れの早期発見
・コンプレッサーの劣化予兆の検知
・霜付きの改善
・電気部品の故障リスク低減
「問題が起きてから呼ぶ」のではなく、「問題が起きないように点検する」ことが食品ロス削減に直結します。
故障や定期的なメンテナンスのご相談など、お気軽に弊社へご相談ください。
https://www.usami-reiki.co.jp/contact
