冷蔵・冷凍設備は、飲食店・スーパー・食品工場などにとって欠かせないインフラですが、「いつ買い替えたらいいのか」「修理と交換の境界線はどこなのか」が分かりにくい設備でもあります。特に最近は電気代の高騰もあり、古い機器を使い続けることが必ずしも得とは限りません。
今回は、冷蔵・冷凍設備の寿命目安、劣化サイン、修理と買い替えの判断ポイントを、現場のプロ視点で分かりやすくまとめました。
業務用冷蔵・冷凍設備の寿命は何年?
・冷蔵庫:7〜10年
・冷凍庫:8〜12年
・ショーケース:6〜10年
・プレハブ冷蔵庫(冷凍機付):10〜15年
もちろん設置環境や使用頻度により前後しますが、メーカー・業界がよく用いる標準的な数値です。
寿命のポイントは「冷える/冷えない」だけではありません。
内部の部品、特に コンプレッサー・ファンモーター・冷媒配管・基板 は経年劣化し、ある時期から急にトラブルが増えます。これを放置すると、ある日突然冷えなくなる…という最悪のケースにつながります。
寿命が近い設備に見られる“劣化サイン”
1.庫内温度が安定しない
設定温度より高くなったり、温度が上下に揺れやすくなる症状は、
冷媒ガスの劣化・漏れ、コンプレッサーの能力低下、霜取り機能の不調などが原因です。
普通は「冷えない=故障」と考えがちですが、冷えたり冷えなかったりする不安定な状態こそ使用寿命が近い証拠です。
2.異音が増える
ブーンという唸り、カタカタ音、ファン周りの擦れる音。
特にコンプレッサーの音が大きくなったら要注意。寿命末期によく起こる症状です。
3.霜や氷が増える
蒸発器周りに霜がつきやすい、庫内に氷が落ちている、ドア周りが凍りつく。
霜取り(デフロスト)が正常に働かなくなるのは、基板・センサーの劣化が原因であることが多く、そのまま使い続けるとコンプレッサー故障につながります。
4.電気代が急に上がる
古い設備は、冷媒性能の劣化、熱交換効率の定価、モーターの負荷増加
などにより、稼働時間が長くなります。
「電気代が前より高くなった」という方は、実は 設備が限界を迎えている ケースが多いのです。
5.何度も同じ部品が壊れる
寿命末期の設備は、ある一箇所が壊れると連鎖的に他も故障します。
「直しても直しても別の箇所が壊れる」状態は、買い替えの合図といえます。
修理と買い替え、どちらを選ぶべき?判断基準
修理がおすすめのケース
◎ 機器の使用年数が7年未満
◎ ファン・パッキン・センサーなど小規模修理
◎ 庫内容量が現在の業務内容と合っている
買い替えがおすすめのケース
◎ 10年以上使用している場合
◎ コンプレッサーや基板交換が必要な修理
◎ 冷媒ガス(R404Aなど)の規制影響を受ける機種
買い替えで得られるメリット
電気代の削減
最新機器は省エネ性能が大幅に向上しています。
古い設備から買い替えると、20〜40%の電力削減が期待できます。
年間数万円〜数十万円の差が出ることも珍しくありません。
故障リスクが激減
営業中に設備が止まると、食品廃棄やお客様対応など大きな損害につながります。
新しい設備は部品の状態が良いため、稼働が安定し、トラブルが大きく減ります。
温度管理の精度が向上
新型の設備は温度制御が繊細で、食品の品質保持にも効果的です。
HACCP対応や温度ログ機能付き機器も増え、管理面でもメリットがあります。
寿命を延ばすためのメンテナンス
寿命を延ばすためのメンテナンスは下記になります。
・コンデンサー清掃(ホコリ取り)
・ドアパッキンの点検、清掃
・室外機周りのスペース確保
・霜取り(デフロスト)設定の適正化
・年1回のプロ点検
冷蔵・冷凍設備は、7〜10年で故障が増える → 10年超で買い替え検討
というのが基本的な判断基準です。
「最近冷え方が不安定」「電気代が増えた」「同じ部品が何度も壊れる」
こうした症状が出た場合は、早めの点検や買い替え相談を行うことで、思わぬトラブルや食品ロスを防ぐことができます。
故障や定期的なメンテナンスのご相談など、お気軽に弊社へご相談ください。

